日記

おっぱい

年始に1週間弱入院したことを機に、娘の断乳に成功した。

娘、もうすぐ2歳というところ。

夫から「おっぱいがないから寝かしつけられない」と言われるたびに「断乳したらその台詞は言わせんッ…」と闘志を燃やしていた私は、退院後、おっぱいのことを忘れているらしい娘を見て「バンザーイ!」と思ったのだった。

しかしそれは夫同様、私も寝かしつけにおっぱいオプションが使えなくなることを意味していた。

入院中、初めは張っていたおっぱいも、自然と柔らかくなり、いつしかおっぱいが出なくなった。

腹痛で救急搬送された私は毎日が点滴の日々。何も食べられず自然と痩せていった。

痛みでものすごい汗をかいていた私に、看護師さんが温かいおしぼりを持って来てくれたときは彼女が女神に見えた。

おしぼりで身体を拭くととても気持ちよく、大変サッパリした気持ちになったのだが、そこで私は見てしまった。

胸の上にある、腐って萎んださくらんぼのような自分のおっぱいを。

ちょっと待って?

しばらく自分の身体を見てなかったとはいえ、この変貌はこれいかに?

20代の頃Fカップあった風船は無惨に萎んでいた。

去年の冬、部の忘年会に参加した。

コロナ禍で皆完全リモートワークということもあり、息子と娘の育休明けの私はここで新人の子たちに初めて会った。

そこで20代の破壊力を見た。

何って幹事の女の子のおっぱいである。

セーターは彼女の身体のラインにピッタリとまとわりつき、そのおっぱいを強調していた。

おっぱいの先が天井を指していた。

「あれ、おっぱいってあんなに上向いてるものだっけ」

続けて私は思った。 「おっぱいってあんなに胸の上の方についてるものだっけ」

気づけば私の両手は自分の胸を包みその位置を再確認していた。

胸、落ちてない?

落ちて萎んで腐ったおっぱい。可哀想なおっぱい。

気づけば病院のベッドにダイヴし、「産後 おっぱい」「胸 萎む 復活」などと検索していた。

すると、おっぱいが上を向いて保てるのはクーパー靭帯のおかげだということが分かった。

このクーパー靭帯というのはコラーゲンでできており、切れたり伸びたりするのだと。

そして「切れたクーパー靭帯は戻らない」のだと。

クーパー!!私のクーパーは切れてしまったのかい?いつの間に!?

調べていくと、「クーパー靭帯を痛めないために、きちんとサイズのあったブラジャーを付けましょう」とある。

ああッッ!

息子を産んだ時からブラトップの楽さにかまけてブラをしてこなかった私。永年ブラトップで過ごしていた私。

自分の怠慢じゃん… このさくらんぼ、もうどうにもならないのかい…?

「誰かにこの悩みを相談したい」

そう思った私の指は、自動的に「岸田奈美 ブラジャー」と検索していた。

なんだっけあのお店。オンラインコミュニティで話題になってたあのブラジャー。

そしてたどり着いた「ブラデリスニューヨーク」!

ここに行けば何とかなる。 すがる気持ちでフィッティング予約Done。

入院中のベッドの上で。

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