
家族でパルコに行った。
ちょうど息子がバギーで寝たので、少し買い物をしようと思った。自分の買い物なんて相当久しぶりだ。
そうだ、この前古いTシャツを何枚か捨てたので新しいTシャツを買おう。
フロアガイドを見たらZARAが入っていたので覗いてみることにした。
そういえば、何年も前にZARAで買った白いTシャツが気に入っている。あれと同じものがあったら良いな。
店に入るとまっさきに目に飛込できたのが「モナ・リザ」のTシャツだった。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたあの有名な女性像の目元が切り取られ「Look at me」と書いてある。
母がこれを着ていたら「びじゅチューン!」オタクの息子は突っ込んでくれるだろうか、という考えが頭をよぎり、何度も取ったり置いたりした(結局買わなかった)。
店の中を一回りしてみたがお目当てのTシャツが見当たらない。
私が探しているのはなんの変哲もない真っ白いTシャツなのだが、店にいくつかあるTシャツは、どれもデザインが入っていたりちょっと形がユニークなものばかりだった。
店員さんに特徴を話して探してもらってみたが、どうやら取り扱いはないようだった。
本当に気に入るものは数少ない。
何年か経って、同じものが欲しいなと思ったとき、同じものが手に入るというのはひとつの価値だと思う。
ファストファッションは基本的に毎年デザインが変わる。
一方、有名ブランドの定番商品はずっと取り扱いがあるので何年経っても同じものが買える。ずっと同じものがあるということはつまり、一度買ったら長く修理をしながら使うことができるということ。
自分が気に入るものを「見つける」プロセスも手間なので「いつ行ってもそれがある」というのは大変ありがたいことだ、と思う。
20代の頃、ボッテガ・ヴェネタで財布を購入したことがある。このとき、私は定番の色を選ばず季節の限定色を選んだ。綺麗な空色が目を引いたのだけど、この色はその年の限定色で基本的にもう二度と買うことはできない。
コンパクトな財布と一緒に同色のストラップを購入した。財布は柔らかい羊の革だったのでボロボロになってしまったが、ストラップはまだ使うことができる。しかし、たとえば今、同色のカードケースが欲しいと思ってももう手に入らない。
