弟が「作ってみた」と持ってきたこれ。尾形光琳の八橋蒔絵螺鈿硯箱、を模した箱である。
「か、かわいい…」初めて見たときはその愛らしさに震えた。
これが可愛いというのもすでに感覚が狂っているのかもしれないが、可愛いと思ってしまったのだから仕方ない。
紙でできているとは思えぬクオリティ。手のひらサイズなのがまた良い。
「びじゅチューン!」好きの息子のために作ってくれたのだった。
先日、息子が通っている幼稚園で新型コロナウイルス陽性者が出たため、学級閉鎖となった。我が家では学級閉鎖が解除されたあともしばらく登園を自粛していた。
その間、息子は繰り返し「びじゅチューン!」を観ていることが多かった。
好きなものにハマるのは良いと思うのだが、ずっとDVD鑑賞というのもどうも受動的だなと思っていた。
そこで、ここからどのように活動を広げようか、どのように環境設定を変えていこうか、と思案していた。
私は、子どもが何かに夢中になったら、それは自分にとっても新しい扉を開けるひとつのチャンスだと思っている。
子どもの遊びに無関心な人もいるけれど、私は一緒に深堀りしていくのが楽しいと思う。我が家では子どもが夢中になっているものごとに周りの大人も積極的に楽しんでいくスタイルだ。
広げるといってもどういう方向性に?という点について色々と考えたが、基本的には何かを「つくる」ことに帰着させると良い。
それでなにかの拍子に弟に「八橋蒔絵螺鈿硯箱を作ってみるのはどうかと思っている」と話したら「作ってみた」のが冒頭の作品だ。
もともと、息子を巻き込んで何かを制作しようという話だったのに、すでにもう大人が先走って楽しんでしまっている。この感じがもうたまらない。
子どもというのは大人をよく見ている。
大人が楽しく生きているというのがいちばんの希望になる、と私は信じている。
