
息子が現在通っている幼稚園では、課外の習いごとが複数用意されている。
ピアノ、水泳、学研、ダンス、体操、空手、美術、、、
私が電話で問い合わせたときにはほぼ埋まっていて申込みができない状態だった。習いごとブームなのだろうか。
唯一空いていたのがピアノ教室。それも17時からの1コマのみ。
本当は幼稚園のクラスが終わり、園バスまでの待ち時間にできる14−15時台がベストなのだが当然この時間は人気である。
送り迎えが不要だというのが、園内の習いごとの最大のメリットであろう。
17時開始となると、園バスで幼稚園から帰ってきてから再度幼稚園に行かなければならない。そうなると、別に幼稚園内の教室でなくて良いのでは、ということになる。
しかし自宅から幼稚園も遠くはないし、息子にとってもも慣れた場所が良いだろうということで試しに17時からの園内ピアノ教室に通わせてみることにした。
17時の幼稚園は人もまばらで日が短い冬などは廊下も暗い。
私もレッスンに付き添っているが、3歳はまだピアノを弾くという感じではなく、リズム取りなどから始まる。テキストの塗り絵もあったりして30分のレッスンはあっという間。
初日のレッスンのあと、2階の教室から玄関に向かう途中。息子が突然階段で足を止めた。
「これ!」と指を指す。
見ると、フェルメールの絵「真珠の耳飾りの少女」が飾ってあった。
暗くてまったく気づかなかった。
先生の手前静かに振る舞っているが、息子が大喜びしているのが分かった。
先生が「この絵知ってるの?」と話しかけるが息子はこくんとうなずくだけ。
先生に「最近びじゅチューンをよく観ていて、絵に興味があるんですよ」と話したら、先生も美術館が好きだという。そのとき、「大塚国際美術館が良いですよ」と教えてもらった。そして「今度、絵の本を貸してあげますね」と約束してくれた。
まさかピアノを習いに行って絵の話をすることになるとは。
その後、軍師コミュニティで「今日ピアノの先生に勧められたんですけど、大塚国際美術館って行ったことある方います?」と書き込みをしたら、メンバーがたくさんフィードバックしてくれた。
なんと、以前コミュニティ内で大塚国際美術館に関するトークがあったようなのだが、当時美術にまったくアンテナが立っていなかった私はぜんぜんピンときていなかった。
景色が変わるというのはこういうことなのだ。
そもそも、もともと美術館に興味をもったきっかけは、軍師コミュニティのメンバーとの雑談会や、メンバーに用意している個人チャンネルでの振り返り投稿の中でたびたび美術館の話題が出てきているからだった。
身近なメンバーとの何気ないやりとり、交わした情報が少しずつ自分の中に蓄積していて、ほんとうに少しずつ少しずつ自分の行動を変えていくのだ。
ひとつひとつの点が、実を結ぶのだ。
今どうしてここにいるのか。
考えてみると周りの人たちや環境が、少しずつ自分を連れてきたのだと分かる。
だから、付き合う人、身を置く環境が大事なのだ。
そういう意味でも、軍師コミュニティはクローズドな、とても小さなコミュニティだけど、とても価値ある場だ、と思う。
今回、どのように点がつながっていったのだろうか。
ことの発端は友人が息子に「びじゅチューン!」のDVD Bookをプレゼントしてくれたことから始まる。
当初、息子はそのDVDに見向きもせず、開封を拒んだ。DVDを再生しようとすると嫌だと怒って止められた。無理に見せるのも違うと思い、息子のタイミングで、と放置しておいた。
その頃、軍師コミュニティでメンバーから美術や演劇、アート、旅行の魅力を繰り返し聞いていたが、そのときはさほど興味を持っていなかった。
しばらくすると、息子が突然「これをみる」と「びじゅチューン!」のDVDを持ってきた。再生してみたら彼はこれに夢中になった。
息子と一緒にDVDを観ているうちに、だんだんと私も作品に関心がでてきた。軍師コミュニティメンバーの美術の話にも興味が出てきた。
家族旅行に行った際、美術館に立ち寄るまでになった。これは以前の私からしたら考えられないことである。
引き続き、息子と一緒に「びじゅチューン!」にハマり、DVD Bookを揃えながら勉強していく折、始めたピアノ教室の先生から大塚国際美術館のことを教えてもらった。
そしてこれが以前、軍師コミュニティで話題になっていた美術館だったのだった。
その後、「びじゅチューン!」のDVDを見返してみたら、友人からもらったDVDの特典映像に大塚国際美術館が収録されていた。最初観たときには気づかなかったのだった。
「実はすべてつながっていたのだ!」と思った。
ひとつひとつは、ともすると見逃してしまいそうな点なのだが、集まることによって行動に変化していった。
今ではいろいろな美術作品に興味があるし、全国の美術館や博物館に行きたいと思っている自分がいる。
すべての縁に感謝である。
